コンペンセイテッドサドルとは？

〜理想のイントネーションを追求する、ギターの精密部品〜

コンペンセイテッドサドル（Compensated Saddle） は、ギターの音程（イントネーション） を可能な限り正確にするために設計された、特殊な形状をしたサドルのことです。

通常のまっすぐなサドルでは補いきれない、各弦ごとの微妙な音程のズレを、サドル自体の形状で個別に調整・補正（Compensate）する役割を果たします。

なぜコンペンセイテッドサドルが必要なのか？

ギターの弦は、太さ（ゲージ）や素材（スチール、ブロンズ等.）によって、振動する時の「張力」や「硬さ」が異なります。

この違いにより、例えば「12フレットのハーモニクス」と「12フレットを押さえた音」のピッチが一致せず、チューニングは合っているのに、特定の弦やフレットでなぜか音程が悪く感じるという現象が起きてしまいます。

コンペンセイテッドサドルは、この物理的な問題を解決します。

その仕組み：どうやって音程を補正するのか？

コンペンセイテッドサドルは、各弦が乗る位置（スロット）を前後にずらして作られることで、弦ごとの微妙な音程のズレを補正します。
そのメカニズムは弦の振動する長さ（弦長）を調整することにあります。

1. 弦の音が「高すぎる」場合の補正:
   • サドルのポイント（スロット）をブリッジ側にずらします。
   • これにより、ナットからサドルまでの実効弦長が「長く」なります。
   • 弦が長くなると振動数が低下し、結果として音程が低く（＝平らに） 調整され、元々高すぎた音が正確な音程に近づきます。
2. 弦の音が「低すぎる」場合の補正:
   • サドルのポイント（スロット）をネック側（ナット側）にずらします。
   • これにより、ナットからサドルまでの実効弦長が「短く」なります。
   • 弦が短くなると振動数が上昇し、結果として音程が高く（＝鋭く） 調整され、元々低すぎた音が正確な音程に近づきます。

このように、コンペンセイテッドサドルは、各弦の状態に応じて最適な弦長を個別に提供する精密な調整機構です。これにより、全てのフレットでクリアで正確な音程を実現し、ギターの奏でるハーモニーの美しさと調和を根本から支えています。

コンペンセイテッドサドルの主なメリット

1. 驚くほど正確なイントネーション
   • 特に複雑なコードやハイポジションでの単音奏法で、その効果を実感できます。
2. 倍音の響きが豊かでハーモニーが美しい
   • 音程が正確になることで、倍音が気持ちよく共鳴し、サウンド全体の豊かさとまとまりが増します。
3. 演奏時のストレス軽減
   • 「なぜか気になる違和感」の正体が音程のズレである場合、それが解消されることで、より音楽に集中して没頭できるようになります。

こんな方におすすめです

• チューニングは合っているのに、なぜかコードの響きが濁って感じる方
• ハイポジションでのソロ演奏や、ライブでの使用が多い方
• カポタストを使用することが多い方
• ギターの持つ本来の性能を最大限に引き出したいとお考えの方